所有者不明土地イラスト土地の所有者につき相続が開始しても相続登記をしないために登記簿上の所有者と実際の所有者とが一致しなくなることがあります。また、登記簿上の所有者が住所の変更登記をしないために、所有者の所在が不明になり連絡がつかなくなることがあります。

所有者が直ちに判明しない土地や所有者の所在が不明で連絡がつかない土地を「所有者不明土地」と呼びます。所有者不明土地は適切な管理がされず草木が生い茂ったり不法投棄の場になったりして隣接する土地や近隣住民の迷惑になることが多いという問題があります。

所有者不明土地の対策として不動産登記法が改正され、令和3年4月28日に公布されました。

これまで相続登記や所有権の登記名義人の氏名、名称、住所の変更登記の申請は義務ではなく、登記申請をしないことについて罰則もなかったことから、登記申請がないまま長期間放置されることが少なくありませんでした。今回の改正により、不動産を相続取得した者は、その相続取得を知った日から3年以内に所有権移転の登記申請をしなければならないとされました(改正不動産登記法76条の2①)。正当な理由のない相続登記申請漏れには10万円以下の過料が科されます(同164条①)。

相続登記申請義務を負う者が登記官に対し所有権の登記名義人について相続が開始し自らがその登記名義人の相続人である旨を申し出る制度が新たに設けられ、登記申請義務の期間内にこの申出をした者は登記申請義務を履行したものとみなされます(同76条の3)。申出を受けた登記官は職権でその者の氏名、住所等を所有権の登記に付記します。

所有権の登記名義人の氏名、名称、住所の変更があったときは、登記名義人は変更があった日から2年以内に変更登記申請をしなければならないとされました(同76条の5)。正当な理由のない変更登記申請漏れには5万円以下の過料が科されます(同164条②)。

不動産の相続取得を知った日や登記名義人の氏名、名称、住所の変更があった日が改正法施行日より前であっても改正法が適用され、登記申請義務の期間の始期は施行日とされるので注意を要します。

相続登記の義務に関する規定は法律公布の日から3年以内、所有者の氏名等の変更登記の義務に関する規定は法律公布の日から5年以内に施行するとされていますが、現在のところ施行期日は定められていません。

令和3年7月28日福島民報掲載